社会の基盤をなす電力,これを送るのが電力ケーブルです。電力を安定に送るためにはケーブルの信頼性は極めて重要です。しかし,海底ケーブルなどケーブルの周囲に水が存在する環境下などでは水トリー劣化に代表されるケーブルの劣化現象が生じます。これを事前に発見し,事故を未然に防ぐにはどのような診断方法が良いのでしょうか。私たちはコンピュータシミュレーションを駆使し,診断方法の最適化を行っています。
ケーブルの劣化現象の一つである水トリーは,加える電圧値や周波数によりその形状や進展速度は異なります。私たちは水トリー劣化試料を回転対象等価回路モデルに置き換え,回路シミュレータ(LTspice)を用いることで,水トリー周辺の電界値を計算し,これから水トリーがどのような形状で進展していくのか予想しています。これにより,どのような電圧,周波数がより水トリー劣化の危険性があるのか,予測できます。
※三菱電線工業時報第105号より
ケーブルには交流電圧が印加されているため,水トリー近辺の電界値は時間と共に変化していきます。このように,短時間で変化していく電界を実験により測定することは困難です。私たちは,回路シミュレータ(LTspice)を用いることで,水トリー周辺の電界値を計算し,時間と共に変化する水トリー近辺の電界を可視化し,どのような現象が起こっているのか,詳細に検討しています。
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